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PTL3日目(8/26)

タイマーで2時間ちょうど、12時に目を覚ます。
コットで寝たのは初めてだったがぐっすり眠れた。
毛布で足をあげて寝たのと、充分に食べて寝たので自分でも驚くぐらい回復している。
休憩所に戻ると、日本人選手はもう出発していたようだった。
ここからの準備は早く、ちょっとの食事を含めて30分ほどで出発する。

ここからは19km、D+1580mの「Cole de la Forclaz」峠を越えて第一関門、102km地点の「Hospice de petit St Bernard」だ。
まず300mほど下ったところでトレイルに入る。
2~3チームがほぼ同時に登りに入った。
少し行ったところで道なりに進んでいたらルートミスをして全チーム間違える。
サコさんがGPSでチェックしてくれていなかったら危なかった。
ナイスチェック!

トレイルを小1時間進むと舗装路に出て本格的な登りだ。
どうやら舗装路や林道が「Cole de la Forclaz」峠の直下まで続いていて、それをショートカットするようにトレイルがあるようだった。
わかりにくいトレイルへの入り口もサコさんの的確なナビでほぼ迷わずどんどん進めた。
ここの登りで結構なチームを抜き去ったと思う。
舗装路が林道に変わり、その林道が終わるころ、相次いで日本人2チームと出会う。
両チームともちゃんとした仮眠をしていないようで、かなり疲労していた。
ともかく関門までがんばろうとエールを交わし、先行させてもらう。

林道が終わると、踏み跡程度の道を進み草付き斜面の直登となった。
かなり急でスキーでも滑りごたえがありそうだったので35°ぐらいはあったかもしれない。
おそらく一睡もせずに進んだ代償か、ここでも2~3チームが足取り重く、抜きさる。
上部で道がわかりにくいとの話だったが、サコさんのナイスナビのおかげか全く迷わずすんなり道を行くことができた。
「Cole de la Forclaz」峠には5時前に到着。
15km、D+1520を4時間弱とまあまあいいペースで歩けたかな。

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「Cole de la Forclaz」峠でショッツタイム。サコさん顔渋い

峠から下って第一関門の「Hospice de petit St Bernard」だ。
ここの下りは分岐が多く、下りなのにペースが上がらない。

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峠の下り。サコさんつかれてそうだなー。

牧柵の先にルートがあったりして、非常に迷いやすかった。
ここはチームとして3人の目があることが頼もしかった。
1人だったら道を見つけることが大変だっただろう。
夜も白んだ7時前に第一関門に到着した。

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関門到着!

関門ではデポバッグを受け取ることができる。
休憩室がかなり混んでいてあまり荷物を広げられず、非効率的に準備した。
次の50km区間分のshotzなどの補給食補充、電池交換、皮膚保護クリーム(プロテクトJ1)塗布、新品ソックス(RxLソックス)への交換、Tシャツの着替えなどやることはたくさんある。
食事(ウサギ肉のソテーと追加でカレーメシ)をとりながら、休む間もなく準備を進める。
思ったより進めない道の感じから、ここでやむなく軽量化のためヘルメットをデポすることにした。

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休憩中

準備が終わった頃に日本人チームが相次いで到着する。
また、先着していたS選手もやってきた。
どうやら仮眠せずに進んだが道に迷ったらしく到着時間は我々とほとんど変わらなかったようだ。
30分ほどしか仮眠できていないらしい。
だが、第2関門までは時間が厳しい。
準備をして先に進むとのこと。

出発直前にS選手の応援に来ていたスイス在住のKさんと野間さんが声をかけてくれ、おにぎりを差し入れてくれると言ってくれた。
準備が整ってもう出発するところだったので泣く泣く丁重にお断りさせていただいた。
(Kさんはこの後も応援に回っていて、行く先々でお世話になりました)

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初対面だけど応援してくれた野間さん。

8時過ぎにすべての準備が整い出発する。
次の目的地はエイドの「Refuge Archeboc」、17km、D+1000だ。
まずはスキー場の斜面を登り、あっさり「Col de la Traversette」を越える。

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スキー場の下り

その後はながーいトラバースを経て、「Col du Retour」も越える。

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長いトラバース区間

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峠を越えたところにある湖

天気もよく、道も良く順調だ。

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調子よく下るサコさん

そこから少し道が悪いものの峠を下り、またまた登り気味のトラバースをすすみ、割とあっさりと12時過ぎに「Refuge Archeboc」へ到着する。

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もうちょっとで小屋

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到着ー。

小屋の直前に3人組(1人女性)のパーティに追いつく。
女性がまだ先行していたことに驚き、やっぱり海外はレベルが高いと思った。
この区間はとても順調だった。
また、このあたりでどうやらLive trailが動いていないことをみさごさんを通して知った。

休憩前にいつも1時間かかっている休憩時間を減らしたい。
30分は難しいかもしれないけど45分に短縮を目指そう。
そのために役割分担(給水、食事注文、会計など)をしようという話になった。(これが功を奏したか、以後の休憩はぐずぐずすることが減った)

「Refuge Archeboc」でソーセージのパスタを食べ、13時に出発した。
次の目的地は山小屋「Refuge Deffeyes」15km、D+1500だ。
出発直後、トニーがポールを間違えたことに気付き交換しに小屋へ戻るというハプニングがあったが、その後も至って順調で「Col de Monseti」もあっさり越えた。

相変わらずすばらしい景色が広がる峠の下りで、偶然ふとした拍子に立ち止まったケルンが目を引いた。
よく見るとカウベルが付いている。
さらによく見るとPTL2014の完走記念カウベルのようだ???
その前で峠で追いついた初老の2人組(後述)に声をかけられた。
それはPTLの提唱者、ジャンクロードの墓標だという。
つたない和訳ではジャンクロードは2013年になくなり、この場所に記念として墓標が立てられた。
PTLの選手たちは、この墓標に石を積むのだという。
2人組はそれを我々に教え、颯爽と先に進んでいった。
すこし運命を感じ、感謝の意味をこめて我々も石を積んだ。
しかしその後はジャンクロードをジャンクロ呼ばわりして「何でこんなルートなんだ」とか「ちゃんとした道をえらべ」とか悪態をつくことも多かった。笑

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ジャンクロードの墓標

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PTLのカウベル

ジャンクロードの墓標を過ぎて少し進むと石造りの家が数件集まった廃村がみえてきた。
廃村の周りを石塀が囲んであり、みるからにドラクエで出てきそうな様子の村だ。
勝手にドラクエの村とサコさんが命名し、村民が居たら絶対に話しかけるといっていた。

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ドラクエの村に下る

廃村の直前の川で、順調すぎたのか集中が切れ気味だったことと、みな足裏に痛みを感じていたことから10分間休憩を取りアイシングをすることにした。
これが大正解で、むくみと痛みがすっきりととれ、この日の長丁場を乗り切ることができたと思う。

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アイシングー

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サコさんもアイシング

ドラクエの村でスイス人親子に再会する。
まだまだ元気そうだった。
村で給水している間にスイス人親子は出発し、平地はぐいぐい進んで先に行ってしまった。

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次なる斜面へ向かう

がしばらくして登りで追いついた。
どうやら息子のほうが脚に来ているみたいだ。
エールを交わし、先に進んだ。

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なかなかの険しい登りも

ほどなく「Col du Tachuy」に到着。
このあたりからD+600は短いなと感じるようになってきた。笑
ここはフランスとイタリアの国境で、2国目に突入!

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越境記念撮影

この下りあたりからサコさんが膝が痛くなってきたという。
我慢できるから様子を見るとのことだったが少し進むとやっぱり痛むとのことで、もってきたGontexロールテープ(もちろんヒョウ柄)で膝周りのサポートを補強する。
勉強しておいて良かった。
下り気味のアップダウンを経て、山小屋「Refuge Deffeyes」には18時頃に到着した。

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氷河の末端部を通過

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ゆるやかなアップダウンを進む

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小屋へ到着!

標高が高い日陰だけあって肌寒い。
早々に中に入ると先ほどの初老の2人組の隣の席に座った。
話しかけてみると兄弟らしくPTLに8回出場し7回完走(うち1回は病気でリタイア)しているらしい。
トルデジアンも出たことがある(連戦している)らしく、トルデジアンよりルート表示がない分難しいといっていた。
以後尊敬の念をこめて我々は彼等を「レジェンド」と呼んで、レジェンドより前に居れば完走できると励みにしていた。

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トマトのペンネ。美味

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レジェンドとトニー

出発間際にスイス人親子も到着。
我々が第2関門「Morgex」に出発することを告げると、若者は昨日とうって変わって弱気に眠いし行きたくないとぼやいていた。笑(ここで仮眠するパーティも多そうだった)

次の目的地、第2関門「Morgex」までは17km、D+はたったの500mだが、2000mの下りがある。
出発直前にコースガイダンスを受ける。
次の峠「Col Colmet」の下りは難所のひとつで、下りの両サイドは雪渓が残り、今の時間帯はカチカチに凍結していて危険で(軽アイゼンを使っても)乗るな。
真ん中は大きな浮石だらけだけど、そこを気をつけて下れとのことだった。
そして、驚くことに「Morgex」までは下り基調にもかかわらず6~8時間かかるとのことだった。
これは相当な難所なんだと予想し、気を引き締めて出発する。

「Col Colmet」までの登り中に日没する。

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月が美しい。。。右上はバランスストーン

峠まではちょっと危険なトラバースもあったがなんなくクリアする。
その下りは。。。来た、地形図にも載っていないバリエーションルートだ。
直径1m以上の石(一部浮石)がごろごろする中を、わずかな踏み跡を頼りに進む。
すでに日没しており、ルートもわかりにくく全然進まない。
下りやすいルートは地形図には反映されていない沢地形があったりして全くはかどらなかった。
ゴロゴロで転倒したさいにストックをおってしまった。
今まで5年間、トランスでも折れなかったヘリノックスのポールが折れて、へこむ。

ようやく地形図上に道が出る地点に達した時点ですでに5時間経過、24時を回っていた。

まだ先は長い。
予備の水を使ってお湯を沸かし、カレーメシを食べた。
そこからはわかりにくいものの草原に道があり、まずまず効率的に進めたが、ゆるい下りの歩きやすい道ながら走る気力はなく、坦々と歩く。

途中で集落に出て「Morgex」の街を望めたがそこからさらに600m林道を下る。
かなり消耗して翌AM3時に「Morgex」のエイドに到着する。

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Morgexに到着

なんと、10番手ぐらい。
関門制限まであとたったの2時間しかない。(結局関門延長されていたのを第3関門の「Champex」で知る)
これは完走率2割以下か、これを完走するってとんでもないなと思った。
位置確認用のGPSも確認してもらったが問題ないとのことだった。(「Morgex」を出発後Live trailは復活)

この関門にはベッドのほかにシャワーもあるらしい。
すぐに食事を充分に取りシャワーを浴び、着替える。
就寝場所の体育館はマットが敷いてあり、場所を確保し毛布をみんなに配ってようやく寝る体勢へ。
すでに4時近い。
出発制限の7時(これも延長されていた)に間に合うように6時起床とした。

この日の行動。
28時間 68.5km D+4500

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